CENTRONICS→RS-232C 変換回路の製作

1.はじめに
最近の高級なオシロスコープには、プリンタ出力が付いているものが有ります。
このプリンタ出力を使えば、オシロスコープの画面を写真に取ったり、手書き で書き取ったりする様な、低級な(物理的手段に近い)方法を取らずに、オシロ スコープの画面出力を、印刷出来ます。
さらに推し進め、オシロスコープの出力を直接、コンピュータに送る事が出来 れば、一旦物理レベルに落とす事無く、電子的に処理出来ます。が、オシロスコ ープ出力を直接にコンピュータに取り込める様な、出力や入力が付いた物は、ま だまだ一般には出まわっていません(パソコン内蔵オシロだか、オシロ内蔵パソ コンだか、判らない様なやつを使えば、一発ですが)。
そこで、オシロスコープの出力を、コンピュータの入力へと変換する基板を作 らされる事にあいなりました。
2.方法
オシロスコープの出力は、画面を除けば、プリンタ出力(CENTRONICS compati ble)しかありません(プリンタ出力が有る段階で、すでに高級品だと思う)。
コンピュータの入力には、FDD(PIO),SASI(ゲ),IDE(E-IDE),SCSI/SCSI2/Wide/U ltra,KEYBOARD(SIO),parallel MOUSE,CENTRONICS compatible,RS-232C compatib le,msx compatible JOYSTICK,GP-IB,CMT(ギョ),VIDEO,etc... といくらでも有り ますが、一般的なコンピュータに標準で付いていて、かつ任意に手軽に使えるも のと言ったら、CENTRONICS compatible,RS-232C compatible ぐらいな物です(昔 は、パワーユーザーの間では、実は FDD(PIO) が一般的だったらしい)。しかも、 自由に扱える(台数が多い)コンピュータ(大概9801Vシリーズ not 9821V)の CENTRONICS compati. は出力専用だったりします。したがって、RS-232C compat i.を使う事になります。また、RS-232C compati.ならば、新たに通信ソフトを書 く必要がありません。
以上の理由により、CENTRONICS → RS-232C 変換をしてやれば良い事になりま す(仕事が来た時点で決まっていましたが)。
3.回路の原理
3.1.使用したIC
さて、手元に何故か、HARRIS SEMICONDUCTOR の IM6402(どちらがサードパー ティーか?)と、セイコーの 8650A と、参考文献のコピーがあります。
IM6402 は、いわゆるパラレル←→シリアル変換のUART(Universal Asynch ronous Receiver/Transmitter)です。本屋で適当に資料を漁ったところ、シリア ル側は start/stop bit 処理やキャラクタ長処理や parity 処理まで付いていま す。あとは、外に基準クロック,フロー制御回路,レベルコンバータを付けてや れば、それ程苦労せずに済みそうです。
8650A は、発振回路と分周回路を内蔵したICの様です。きっと、水晶を使う なと言う、「点の声」でしょう。
TTLレベルと RS-232C レベルの変換と言ったら、MAX232 でしょう。終わり。
CENTRONICS 入力側にバッファを入れておいた方が安心出来るので、入れてお きましょう。
フロー制御でのパルス発生は 74 シリーズの 123 が典型です。あとはゲート を適当に付ける必要があるでしょう。
おおよそ、こんな所でしょう。
3.2.回路の原理
電源投入後のリセットの為、D,R,C,バッファでパワーオンリセット回路 が入っています。
基準クロックは 9600bps *16 を 8650A にて発生させ、IM6402 に入れていま す。
IM6402 は、キャラクタ長,stop bit 長,PARITY(NONE,ODD,EVEN),を任意に 設定出来る様になっているので、DIP SW にて設定出来る様にしました。
CENTRONICS 入力からの、DATA 1〜8 はバッファを経由し IM6402 に入ります。 STROBE (1バイトのデータにつき、1発のパルスが来る)は、74HC123 にて波 形整形された後、IM6402 にデータ確定通知として入ります。CENTRO - 74HC123 間に 74HC14 が入っていますが、本来は HCT を使いたかったのですが、無かっ た為に HC + pull up になったので、大した意味は無くなっています。
IM6402 のシリアル出力は MAX232 にてレベル変換後、RS-232C RXD へ出ます (RS-232C の端子名はコンピュータ側が基準となっている事に注意)。また、IM 6402 のシリアル入力を open/pull up/pull down するのは、どうかと思った ので、MAX232 が1素子余っているのも有り、RS-232C TXD から MAX232 経由で IM6402 へ入れています。ただし、IM6402 のシリアル入力の設定が、DISENABLE にして有る事に注意して下さい(RRD,DRR,SFD あたり)。
CENTRONICS 入力のフロー制御ですが、RS-232C RTS,IM6402 TRE TBRE(パラ レル入力バッファ/レジスタエンプティ),フロー強制カットスイッチ,の4つ を AND なり OR なりで、取りまとめ、CENTRONICS BUSY へ出力する事により、C ENTRONICS のデータ出力を止めさせています。また、BUSY が消える時に(受信 可能になる時に)、74HC123 により、CENTRONICS ACKNLG へパルスを出し、正式 な CENTRONICS としています。
RS-232C 入力のフローはやっていません。必要ありませんし。一応つながって はいますが。
電源は、言わずと知れた 7805 の予定でしたが、無かったので、低ドロップ型 3端子レギュレータ 2940-5 になっています。また、入力側に電源確認LEDが 入っています。入力電圧に応じ、明るさが変わり、5Vが得られないくらい低電 圧になると消えます(なんで5V側にしなかったんでしょ?)。
また、適当にパスコンと電解コンデンサが入っていますが、てきとーに、そこ らに有った電解コンデンサを使ったので、2940-5 の推奨容量より小さいです Hi
3.3.動作試験
まずは、何もつながない状態で、電源のみ接続、消費電流と発熱の確認。問題 無し(消費電力どの位だったっけ?)。
余裕があれば、8650A の発振出力と,パワーオンリセットのワンショットを確 認出来れば安心でしょう。
明らかにおかしな事が無い事が確認出来たら、フロー強制カットをOFFにし、 CENTRONICS 側のみ接続しコンピュータから適当に出力します(オシロのプリン タ出力でも良いですが)。MS-DOS/DOS/V 付属の PRINT.sys を組み込み、"copy hogehoge prn" で良いでしょう。
CENTRONICS BUSY が high になり、コンピュータの出力が止まってしまえば、 まずは正常です(初めて動かした時に、一瞬思い出せずに、戸惑った)。
次に、フロー強制カットをONにすると、コンピュータの出力が再開し、CENT RONICS STROBE に連続したパルスが来て、それに応じて CENTRONICS BUSY に連 続したパルスが出力され、また、CENTRONICS ACKNLG にも連続したパルスが出力 されます。RS-232C RXD に適当なデータが出力出来ていれば正常です。
CENTRONICS 側の正常が確認出来れば、最後に RS-232C 側にもコンピュータを 接続して確認します。当然、別のコンピュータの方が楽でしょう。同じコンピュ ータの場合は腕が必要となるでしょうね。MS-DOS/DOS/V 付属の RSDRV.sys を 利用し、"copy aux con" とする場合は、フロー制御を行ってくれないので、注 意が必要です。素直にハードフロー対応通信ソフトを使った方が安心でしょう。
それなりに高級な通信ソフトを使っているのならば、RTS のON/OFFに応 じ、データが来たり止まったりする事を確認しましょう。
プリンタ出力したデータと、RS-232C から入力したデータが同じ物であれば、 正常です。
4.終わりに
SCSI2 出力イメージスキャナが有るのだから、同じデータ形式出力の、SCSI2 出力オシロスコープって、有ってもよさそうな気がするのですが、あるのでしょ うか。
両方向フル CENTRONICS のハンドシェーク方式はどうなっているのでしょう。 (?_?)コンピュータ関連の書籍を探しても、ポート割当しかなく、両方向対応ソ フトを解析しようにも、窓95用だったりして、解析出来ないし、、、(;_?)
Spechial Thanks to
 Fire 氏
 以下略 (^^;;汗
参考文献
 トランジスタ技術 1995 Feb. P.206〜207 CQ出版社
  「XON/XOFF 対応型セントロニクス→RS-232-C 変換」 宮崎 仁
 トランジスタ技術 年月不明 P.204 CQ出版社
  「セントロニクス→RS-232-C 変換インターフェース」 宮崎 仁
 セイコー 8650A 規格書
 HARRIS SEMICONDUCTOR CDP6402,CDP6402C March 1997
  CMOS Universal Asynchronous Receiver/Transmitter(UART)
  Copyright Haris Corporation 1997 FileNumber 1328.2
 National Semiconductor LM2940/LM2940C 1A Low Dropout Regulator
  (C)1996 National Semiconductor Corporation TL/H/8822 RRD-B30M56
 トランジスタ技術 別冊/Specialなど CQ出版社
5.付録
5.1.規格
 入力
     ANFENO-36P CENTRONICS compatible TTLレベル
     データ:2pin DATA 1 〜 9pin DATA 8
     フロー:1pin STROBE 立ち下がりから約0.5μsにてデータ取込
      11pin BUSY にて送信停止要求
      10pin ACKNLG に約0.5μsのパルス送出にて受信確認
      PC-9801 シリーズ/PC-9821 シリーズの PC-9801 互換モードの
     ように、STROBE & BUSY によるハンドシェークでも構わない。
      12pin PE,13pin SLCT,14pin AUTOFEED,31pin INIT,32pin ERROR,
     36pin SLIN 等には対応していない。
 
 出力
     DSUB-25P RS-232C compatible -12V/+12Vレベル
     データ:3pin RXD に変換後のデータ出力
     フロー:4pin RTS により、フロー制御(送信停止)
      その他のピンには対応していない。
 
 電源
     最低限 DC 7V 0.5A 程度
 
5.2.設定
DIP-SW 名称 ON(low) OFF(high)
1 再設定 設定値読込
2 パリティ
3 STOP bit 1bit 1.5bit(char length=5)/2bit(other)
4/5 キャラクタ長 on/on:8bit on/off:7bit off/on:6bit off/off:5bit
6 パリティ 奇数 偶数
7 未使用
8 フロー
  • 回路図(CE+LIB LZH 7KB)
  • 回路図(PNG 20KB)
  • 回路図(GIF 26KB)

    執筆:1997年5月某日〜10月6日〜10月12日、 1997 Oct.12 Sun.
    web 用に修正:1998年9月3日

  • Last modified on Fri,11 Sep,1998.
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