PC-9801シリーズ用 RS-232C外部クロック供給回路

1.きっかけ
事の始めは、私が中古でかの名機PC-9801VXを手に入れた事でした。さて、V Xを通信専用端末として利用しようとしたのですが、VXは8MHz系のマシン で、しかもモデム(正確にはTNCですけど)は5MHz系用。このままではD TE速度が9600bpsより速く出来ません。しかしながら、PC-9801シリーズのRS-232C は外部からクロックを供給してやる事で、任意のDTE速度にする事が出来ます。 そこで、19200bps以上のDTE速度にするべく、RS-232Cへのクロック供給回路 の製作を決めたのでした。
2.回路の原理
2.1.RS−232Cのこと
98側のDIP SW-1(機種によって8個あるSWのどれをどう設定するかが違いま す)でST2同期に設定してから、RS-232Cの15番ピン(ピン名称:ST2、 若しくは TXC2)にクロックを供給してやると、供給したクロックを送信の基 準クロックとします。また、17番ピン(ピン名称:RXC)にクロックを供給 してやると、そのクロックを受信の基準クロックとします。この状態で、非同期 通信モードで通信ソフトを動かしてやれば(普通の通信ソフトは非同期モードで 動いています)、基準クロックの1/16のボーレートで動きます。よって、15番 ピンに必要なクロックを供給してやれば良い訳です(RS-232Cではボーレートと 転送速度が等しいので、必要な転送速度の16倍のクロックを入れてやれば良い訳 です)。
2.2.回路のこと
そんなわけで、単なる発振器を作ってやれば良いだけです。FEZ師匠の一言 「モジュールは楽だよ」で発信源は水晶発振器を使用する事にしました。また、 どのみち源発振を分周しなければならないので、可変分周比にする事にしました。
分周にはお手軽な74シリーズか40シリーズを使うとして、そのなかで分周専用の2 の分周が出来るICを使う方法と、カウンタを使って分周する方法の2つの方法 が有ります。さて、5MHz系DTE速度専用に76.8,38.4,19.2kbpsとするなら ば、前者で良いですが、せっかく分周回路を組むのなら、AT互換機が使ってい る系列のDTE速度にも出来たらいいな(使わないけど……)、と言うわけで、 カウンタで分周する事にしました。
AT互換機が使用している系列の最高速度は115.2kbps、98の5MHz系の 最高速度は76.8kbps(153.6kbpsだっけ?)ですから、230.4kbpsを1/2すれば115. 2kbps,1/3すれば76.8kbpsとなり、ちょうど良いです。実際には16倍を供給す るので、3.686400MHzが源発振となり、これを1/2,1/3できれば良いです。
さて、電源が問題です。わざわざ外部電源を付けるのが嫌なので、オーソドッ クスにRS-232Cから取る事にしました。しかしながら、RS-232Cには電源が出てい ません。そこで、端末が送受信可能ならば常にHIになっている、20番ピン (DTR)から取る事にしました。また、普通の3端子レギュレータなぞ使った ら端末のドライブ回路が耐えられる訳が無いので、FEZ師匠&thomas仙人に聞 いた、低ドロップ低消費電力の3端子レギュレータを使用しました。
3.設計・製作
これまでに述べた事から、回路図が出来上がりました。カウンタはてきとーに、 一番安い物を選びました。
カウンタの後に付いている1/2分周はデューティー比をちょうど50%にする 為のものです。また、カウンタの入力が0ならば1/1,1ならば1/2,2ならば1/ 3……となります。
さて、この回路を実際に作ってみるとカウンタ入力を0にすると出力が出ませ んでした。規格表をじっくり見れば、当然かもしれませんが、完成するまで気付 きませんでした。そうなると、最高速度が57.6kbpsになってしまうので、最後の 1/2分周を飛ばす2倍速スイッチを付けてしまいました。
実装にさいして、ジェンダチェンジャの中に詰め込む事にしました。thomas仙 人が115.2kbpsのクロック供給回路を組んだ際に使用したケースが値段もサイズ も手軽なので、同じ物を使用しました。しかしながら、大きさがぎりぎりで無理 矢理詰め込む事になりました。やっぱりモジュールは大きいく、かさばります。
で、結局、総額¥1,200でおつりが来ました。
4.そして完成
まぁ、製作1日,ケース加工少々で完成し、実際に使用してみました。 98<->98で試した所、設定速度どうりに動作しました。しかしながら、 98<->TNCでは19.2kbpsより速くは出来ません。 TNCの最高速度が19.2kbpsだったのでした……。
4.1.ついでに
TNCの通信速度がジャンパで設定する様になっていて、面倒なので、オート ボーレートに改造しました。RS-232Cの24番ピン(TXC1)にはパソコン側 の基準クロックがそのまま出ているので、これをバッファに入れTTLレベルに してから、TNCのRS-232C用基準クロック回路と差し替えてやるだけです(昔、 TNC2/クローン全盛の頃はやったらしい)。
で、38.4kbpsにしてみましたが、TNCが追い付いてきませんでした……。結 局、28.8kbps以上は追い付きませんでした。また、19.2kbpsにするとなぞのデー タ化けを起こしました(いまだに原因不明)。仕方が無いので、TNCの基準ク ロック回路で19.2kbpsとし、パソコン側は製作したクロック発生回路で19.2kbps にする、不思議な状態になってしまいました。
5.おわり
Special Thanks to FEZ師匠、thomas仙人
  • 回路図(CE+LIB LZH 4KB)
  • 回路図(PNG 14KB)
  • 回路図(GIF 19KB)

    執筆:1996年8月23日〜1996年8月31日、 1996 Nov.10 Sun.
    web 用に修正:1998年9月3日

  • Last modified on Fri,11 Sep,1998.
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